FX業者への信託保全規制

「信託保全の義務化」で2月までに業者は半数に

規制案発表の際に話題を呼んだのはレバレッジ規制だが、当面最大のハードルとなるのは、FXの信託保全義務化である。「財務面での淘汰が始まった。表向き収益が上がっている業者でも裏側では大きな問題。財務担当者は走り回っている。

 

タイムリミットは、経過措置が終わる来年二月。「年末にかけて、対応できない業者の撤退もありうる」。「業者の半数ほどはもう諦めている」ともいわれる。それほどまで、インパクトは大きい。少々ややこしい話になるが内容を説明しよう。

 

2005年から、FX業者には顧客から預かった証拠金を自社の資産と分けて管理する「分別管理」が義務づけられた。業者が破たんした際でも、顧客のカネが保全されるようにするためである。従来、これには三つの方法が認められていた。信託銀行への金銭信託、金融機関への預貯金、カバー取引先への預託だ。しかし後二者は、業者が流用したり、あるいはカバー先が破綻して差し押さえられたりする可能性があり、実際に顧客かカネを取り戻せないケースも発生した。そこで今回、分別管理の方法は金銭信託に限る、とされたのである。

 

業者にとって頭が痛いのは、カバー先への預託が封じられたことだ。FX業者は、カバー先の銀行などとの取引に際し、自身も証拠金を積まなければならない。従来は、顧客の資産の一部を預託というかたちでこれに充てる業者が多かったのだが、今後は顧客資産はすべて信託したうえで、証拠金を別途用意しなければならない。

 

信託保全がされているかどうかは、業者選びの際の基本といえる。ただし、その″中身多も重要だ。まず、蚕額信託保全」であること。「当社は信託保全を行なっています」とうたいながら、よくよく読むと「一部」というところもあったりするので要注意だ。

 

すでに信託保全を行なっている業者では、LG(Letter of Guarantee)を使っているケースもある。これは、信託銀行から債務保証状を出してもらい、カバー先に差し入れるという方法である。しかしこの場合は、LGの担保が何かが問題だ。今回の規制強化では、顧客資産を担保とすることが実質的に禁じられたため、これに該当する業者は、新たな対応を迫られる。顧客資産への担保設定なしでLGを発行してもらうには、かなりの信用力とノウハウが必要であり、コストもかかる。

 

さらに規制では、保全の対象に、顧客の証拠金だけでなく取引の評価益やスワップ金利も含めること、必要な保全額の計算(値洗い)を毎営業日に行ない、不足が明らかになった場合は二営業日以内に補うことを求める。信託保全自体は行なっていても、値洗いが一週間に一度、一ヵ月に一度という業者もあり、これらも二月までに対応せねばならない。